知識を得ることで芽生える葛藤 『アルジャーノンに花束を:ダニエル・キイス』を読んだ。
つまり、知識の探求に加えて、われわれは家庭でも学校でも、共感する心というものを教えるべきだと。
われわれの子供たちに、他人の目見、感じる心を育むように教え、他人を思いやるように導いてやるべきだと。
自分たちの家族や友人ばかりではなく――それだったらしごく容易だ――異なる国々の、さまざまな種族の、宗教の、異なる知能レベルの、あらゆる老若男女の立場に自分をおいて見ること。
こうしたことを自分たちの子供たち、そして自分自身に教えることが、虐待行為、罪悪感、恥じる心、憎しみ、暴力を減らし、すべてのひとびとにとって、もっと住みよい世界を築く一助となるのだと思う。
前々から気になっていた、
「アルジャーノンに花束を」を読んだ。
早川書房
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知的障害をもつ主人公は、脳にある手術を受け、
それが成功ししだいに知識を得ることが可能になる。
その知識を得るスピードは、通常の人の何倍もの早さで、
みるみるうちに天才となった。
知識を得たことで、知ることになる自らが過去に受けたイジメ。
悩まされることになる恋愛感情、友人関係。
周りの人間との知識の差。
さまざまなコンフリクトに主人公は、悩まされ、
周りの人間に対する心遣いも忘れ、高慢になっていく。
が、その後、主人公を待ち受けることは・・・・。
主人公の報告書だけで構成され、
その文章が次第に賢くなっていくのがわかり、読んでいて面白い。
主人公の変わっていく態度を通じて、
自身にも当てはまる部分を感じられた。
知識を得ることで周りの人間と比べ、
あたかも自分が周りの人間よりもえらいのでは、
ないかと錯覚してしまうことがある。
高慢な態度は、周りへの思いやりを忘れさせ、
結果的に孤独なものとなる。
移り変わる主人公の高慢な態度の変容を、
自身が時々陥る感情を反省することになった。
大人になるにつれて、白いキャンバスがどんどんグレーに黒になっていく、
そんな中でも”他人を思いやる”そんな心を忘れないでいきたい。
読んでいてそんなことを思った。