限りある生を感じること 「終末期患者からの3つのメッセージ」を読んだ。
その人を理解するには、その人の人生を理解する必要がある。
緩和医療医という職業につき、
たくさんの死を、見てきた著者。
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その著者がさまざまな人の死を通して、
気づいたこと、感じたこと。それが事例とともに語られている。
人は、必ず死ぬ。
この事実を受け入れられるか、受け入れられないかで、
人の人生、生き方は大きく変わっていくのではないかと思う。
ついに行く 道とはかねて 聞きしど 昨日今日とは 思わざりしを
古今和歌集から著者がこの言葉を引用しているように、
遠くにありすぎて、”死”の存在に気づくことはあまりない。
だからこそ、
”死”が確実にあることに気づくのは重要なことだ。
終わりがあるからこそ生が輝くのだ
これは、重松清の、
「永遠を旅する者」を読むと、良くわかる。
永遠のいのちは空しいだけだ。
決められた期間の中での一瞬のきらめきこそ美しい。
ゆえに求めても獲られれずに苦しむことになる。
仏教で言う、「求不得苦」である。
あれもほしい、これもほしい。
欲はとまることがない。
それが無駄だったことだと、人は死ぬ間際に気づくという。
墓場までもっていけるものなどない。
普段からそう思って、あるがままの状態をたのしむことは
重要なんだろうな。
求めないから、与えられたときの喜びは深くなる。
こういうことなんだろうな。
必要以上に求めない。
身の丈にあったものがあれば十分なんだ。
「人は必ず死ぬのに、なぜ人を蹴落としてまで勝つ必要があったのか」
と思うのだ。そして
「どうせ死ぬのなら、人に優しくして、誇れるような人生だったら良かった」
人が死ぬ間際になって気づくことを、
生きている今、
知ることは幸せかもしれない。
限りある生を意識し、生きることの大切さは、
スティーブジョブスも説いている。
いまここにある生を最高のものにするためにできること。
それをひたすらにこなし、最後を迎えられたら、
きっとそれは最高の最後になるのだと思う。